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2008年6月 9日 (月)

水谷豊

この人物のオモテとウラ 水谷豊(俳優)

 東大法学部を首席で卒業した超エリートながら、ある事件の指揮をめぐって上層部と対立。窓際に追いやられはしたものの、決して腐ることなく、かといって派手なパフォーマンスもせず、あくまで冷静着実。気の合う相棒を得て次々に難事件を解決していく――いかにも中高年サラリーマンに受けそうな設定の映画「相棒」が、周囲もビックリの大ヒットを見せている。公開1カ月の興収が35億円。すでに今年の邦画ナンバーワンは決まったも同然といわれている。タイミングよく出したアルバム「タイムカプセル」も、オリコン初登場2位と好調で、時ならぬブームには本人も「こんな凄いことになるなんて、想像もしてなかった」と戸惑いを隠せない様子だ。何が受けているのか。
 今回の水谷人気は決して映画「相棒」だけの功績ではない。実は水谷自身の人生が、「相棒」の主人公・杉下右京と二重写しなのだ。
 手塚治虫の「バンパイヤ」実写ドラマに“天才子役”として起用されたのが14歳。ショーケンと共演した「傷だらけの天使」で人気を不動のものにしたのが22歳。続く78年に放送された「熱中時代」では、最終回の視聴率が46.7%という驚異の数字をはじき出した。
 ところが、いつの頃からか水谷の“快進撃”はスローダウン。映画は一切出なくなり、たまに画面で見かけるのも単発ものの2時間ドラマのみ。 実は、今回の相棒も00年の初回放送は地味な2時間ドラマだった。

●世の中高年サラリーマンにも参考に?
 映画の主演は25年ぶり、アルバム製作も22年ぶりのこと。芸歴40年の水谷は、そのうち30年近くを「不遇」のうちに過ごしていた。
 その間、水谷は何を思っていたのか。キーワードは「バイト感覚」と「出会い」だ。各種のインタビューで「自分にはもっと向いている仕事があるはず。芝居はバイト、歌はパート感覚でやっていた」「仕事で“人に会う”と考えるとおっくうだけど、ボクは“人に会う”ために仕事している」と、繰り返し述べている。出会いの具体例として水谷は不遇時代に2時間ドラマに誘ってくれた日本テレビのプロデューサー・小坂敬氏と、「相棒」の監督・和泉聖治氏らの名前を挙げている。バイトと考えれば、自分を追い詰めなくて済む。出会いを求めれば、いつかはチャンスも訪れる。上を向いたら、つらいこと腹立たしいことばかりだが、横を見れば、案外気のいいヤツがゴロゴロいることに気づいた――このあたりは、会社の扱いに不満を抱える世のサラリーマンにも大いに参考になるのではないか。
 もっとも、水谷の場合は絶頂期だった20代の時点で、すでに十分の蓄えは稼いだはず。自宅に帰れば、「山の神」ならぬキャンディーズのランちゃんが待っている。
 やっぱり、並のサラリーマンじゃ無理な芸当かなぁ。 

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