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2008年7月16日 (水)

大阪の商人たちにこよなく愛された金魚オオサカランチュウ

<幻の金魚>執着心が再現させたオオサカランチュウ

 かつて、大阪の商人たちにこよなく愛された金魚がいた。その名も「オオサカランチュウ」。江戸時代から関西を中心に多数飼育されていたが、戦後ほどなくして絶滅してしまったという。その後、復活を夢見た業者や愛好家たちが品種交配を繰り返し、長い時間をかけてその姿を再現した。そこまで人々の執着心をかき立てる美しい金魚を見てみたくなった。

 ◇大阪商人こよなく愛す

 府内で金魚の繁殖を行う業者は数少ない。たどりついたのは、阪急豊中駅近くの「豊中養魚」。「大阪で今、オオサカランチュウを自家繁殖しているのはウチだけじゃないでしょうか」と店主の高山康一さん(51)は話す。5年ほど前、静岡県浜松市の養魚家が品種交配を重ねて再現したオオサカランチュウの血統魚をセリ市で手に入れ、育ててきたものだ。

 自宅の養殖池から出してきたオオサカランチュウを、浅いタライに入れてくれる。“幻の魚”とのご対面だ。普通のランチュウに比べると頭が小さく、肉瘤(にくりゅう)と呼ばれるコブがない。背びれがなく、コロンとした卵型の胴体。鼻腔の下にはポンポンのような「花房」(鼻ひげ)がある。特徴的なのは尾ひれで、横に大きく広がる「平付け」と呼ばれる形をしている。「上から見るのが正しい鑑賞の仕方」と言われた意味が分かった。ヒラヒラとなびく尾がきれい。ブリキのおもちゃの金魚に似ていると思ったのは秘密だ。

 「体形も大事ですけど、オオサカランチュウの鑑賞で重視されるのは色柄です」と高山さん。別称を「模様魚」とも言われ、赤と白の織りなす体の模様の美しさが、品評会などで判定の基準になるという。理想とされるのは、体全体が白で各ひれが赤い「六鱗(ろくりん)」模様。「さらに口とほおが赤ければ完ぺき。でも1万匹に1匹くらいの確率でしか出ない」と、その貴重な実物を見せてくれた。おしろいに紅を引いたようで愛らしい。模様で値段にも10倍以上の差が出るそうで、「これで1匹2万円」。高い!

 フナが突然変異したヒブナが金魚の原種で、中国から伝わり日本で一般にも広く飼育されるようになったのが江戸時代。オオサカランチュウのような高級金魚は庶民が手を出せるものではなかったが、いわゆる「だんな衆」と呼ばれるような豪商たちの道楽として大きな人気を集めたらしい。それがどうして絶滅してしまったのか。「関東の派手なランチュウの人気に押されて数が減っていったのと、やはり戦争が原因でしょうね。金魚は『ぜいたく品』ですから」

 ◇昔の絵や文献頼りに

 それでもオオサカランチュウの写真が1枚も残っていない、というのは不思議だ。実物を知る人も、もうほとんどいない。昔の絵や文献だけを頼りに、今も多くの人が理想を追い求めて努力している。真実の姿は闇の中だ。「ミステリーですよね。終わりがない作業です」。高山さんは笑いながら「でも、謎だから想像がかき立てられ、心が引きつけられられてやまないのかも」と話すのだった。

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 【オオサカランチュウ】

 大阪を中心に江戸時代から盛んに飼育された高級金魚。ランチュウ特有のシシガシラと呼ばれる頭のコブがなく、横に大きく尾が張っている。戦後すぐに絶滅した。現在見られる個体はさまざまな品種の交配によって復元されたもの。

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